長期海外留学者数は年々減少、短期は増加傾向

これだけグローバル化社会と言われているのにもかかわらず、海外留学を目指す日本人は減少傾向にあり、日本の若者は内に向きつつあるということが言われています。実際にユネスコ統計局、OECD、IIE等における調査結果によると、2004年辺りをピークに、留学者数は減少傾向にあります。

ところが、日本学生支援機構が2009年から開始したJASSO調査によれば、年々留学者数が増加していることが明らかになったのです。事実、2009年は36,302人だった留学者数は、2014年には81,219人にまでなりました。

なぜこのような異なる数値がでているかというと、実はJASSOのデータには、超短期留学の値まで計上されているのです。2014年に留学した81,219人の内、半数以上にあたる48,853人が1カ月未満の留学だったのです。2009年の調査から急激に数値を伸ばしたJASSOのデータですが、それを支えたのは超短期留学者であり、長期留学者の数はほとんど変化していないことが明らかになりました。

超短期留学が人気となっている背景には、いくつかの理由があります。グローバル化を進める日本企業に受けの良い「グローバル人材」となるべく留学を検討するも、経済的な事情により短期にせざるを得ないことや、海外の大学の開校期間が日本企業の新卒採用時期と重なるため、長期留学をためらう場合などです。こういった避けることが難しい理由が大半なので、恐らくこの短期留学「人気」はこれからも続くでしょう。

ここで気になることは、こうした短期留学によって、英語力は伸びるのかということです。実際どれだけ英語が伸びるかは、その人それぞれです。4年留学していても、英語があまりうまくないという人も結構いますし、短期でも真剣に取り組み、急激に力を伸ばした人も多くいます。TOEIC主催団体であるIIBCが発表した2016年度統計「海外滞在経験・期間別受験者数と平均スコア」によれば、滞在経験がない人の平均スコアは437点であるの対し、6カ月未満でも滞在経験がある人は平均520点に伸びています。このデータはあくまで海外滞在経験者なので「留学者の平均」とは言えませんが、それでもやはり海外に行くことが、多少なりとも英語力向上に貢献していると言えるのではないでしょうか?

本格的に英語ができる日本人はまだまだ少ないかもしれません。長期留学をする日本人も多くありません。短期留学は意味がない、という人もいます。ですが、短期留学といえ、数値で表せる程度には効果があるようです。

今後短期留学者数が増えることにより、少なくとも英語の基礎力を持った日本人が増加していくかもしれませんね。