中国人・韓国人の英語は日本人より優れてる?

最近よく、「中国人・韓国人は同じアジア人なのに日本人より英語が上手い」という話を聞きます。これは本当なのでしょうか?

例えば2016年度のTOEIC国別ランキングでは中国35位、韓国19位、日本41位と大きく差をあけられています。実際に、日本に旅行に来ている中国・韓国人達を見ていても、日本人より流暢に英語を話す人が多いように思えます。こういった主観的、客観的証拠が、この逸話を生んだのでしょうか。もう少し深く掘り下げてみましょう。

■中国人とTOEIC
公式には発表されていないのですが、TOEIC受験者は日本と韓国だけで8割(諸説あり)を占めると言われています。残りの2割が、中国を含む世界各国の受験生で構成されていることになります。つまり、中国人のTOEIC受験生は受験人口自体が圧倒的に少ないわけです。これはそもそも、TOEICという試験自体が日本と韓国では圧倒的人気があり、英語力の指標となっているが、他の国にすればTOEICを受験する意味合いが低いからだと考えられます。

では、そんな中国人にとって「あまり意味のない」TOEICを彼らが受験する理由はなんでしょうか?これは、単純労働者としてではなく、グローバルエリートとして英語が使えることを証明するため、TOEICを受験する中国人が一定数いるのではないかと想像できます。特に日本や韓国でグローバル人材として働く場合には、TOEICの点数が重要視されますので、そのために受験する人が多くてもおかしくはないでしょう。つまり、中国では一部のエリートの試験となっている可能性があり、そのため平均点が高いと推測できるのです。とはいえ、2013年時点の中国は12位にランクインしていました。急激にランクを下げている事実から、エリート以外の一般層にもTOEICが浸透しつつあるのかもしれません。

■韓国人とTOEIC
一方の韓国ですが、こちらは日本以上に人気が高く、かなり多くの人がTOEIC受験を経験しています。つまり、一部エリートだけの試験ではありません。それにも関わらず、日本よりも高い30位にランクインしている理由は何でしょう?この理由は単純に「韓国人の方が、英語ができるから」です。韓国ではTOEICの点数を恐ろしく重視します。日本はまだ「TOEIC受験は絶対に必要」という段階にまで達していませんが、韓国で企業に就職するにはほぼTOEICスコアの提示が求められます。また、各企業が提示する「最低必要スコア」も日本に比べてはるかに高いものを要求してきます。小国である韓国は、英語を使って世界相手に商売しないと生き残れないという背景があり、英語ができない人材は不利になってしまうのです。だから必死に勉強して、TOEICのスコアを上げているわけです。ただ、そんな状況下でも30位であるということは、裏を返せば彼らも元来的に、英語を得意としているわけではないと言えます。

■英語が上手に聞こえる秘訣
では、主観的に彼らの英語の方が上手いと感じる理由は何でしょうか?仕事を通して会った中国人・韓国人はエリート層である可能性がありますよね。それはきっと英語が上手いこともあってエリートとなっているわけです。観光客の英語も上手いと感じる人もいますが、よく聞いてみると、結局は旅行先での英語なので、実はさほど難しいことは話していません。文章にすれば、ほとんどの日本人が理解できるくらい簡単な英語が多いです。ひょっとすると、一番大きな違いは「話す態度」ではないでしょうか。堂々と話せば、発音や文法などの多少の間違いは問題となりません。怯えて、常にビクビクと話す日本人の英語に比べ、彼らの英語が素晴らしく聞こえるのはそれが原因ではないのかも知れません。

もし自信がないから、英語を話すときに控えめになっているな~と思う方は、逆にどうどうと話してみてください。文法の正確さや、発音のきれいさ、表現の豊かさはいつまでたっても上達の余地があります。現在のご自分のレベルで、自信をもって話せばきっと、中国人や韓国人に負けないくらい上手に聞こえるかも知れませんよ。